ウェールズ英語の特徴 (1)

       


Last update January 4, 2025

 歴史的背景

ウェールズは、イングランドの西側にありグレート・ブリテン島の一部を構成しており、スコットランドや北アイルランドと同様に「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)の一員でもあります。距離的に近いことからイングランドとは政治的なつながりが密接ですが、言語的には、英語ではなくケルト語の一派であるウェールズ語が長年話されてきました。

16世紀には、イングランドによる併合にともない、英語を公用語とする法令が出されましたが、実際に英語が話されるようになったのは18世紀になってからのことです。その後、19世紀の産業革命をきっかけにイングランドからの移民が急増するとともに英語がますます浸透し、20世紀に入るとウェールズ語に取って代わるようになりました。しかし、最近では、そのような傾向が見なおされ、ウェールズ語保護政策が打ち出された結果、ウェールズ語を話す人口も増えているようです。

 独特の歌うようなイントネーション

文字通り singsong accent と呼ばれますが、母音が長く発音され、同一の単語のなかで音が高くなったり低くなったりと音の高低が交互に繰り返される抑揚を言います。たとえば、「ジョン、君は何をしているの?」という文章も ♪John, what are you doing? となんだか楽しげで、図示してみると下記のようになります。



また、ウェールズ英語では、イギリス英語オーストラリア英語ニュージーランドの英語と同じように、音節語尾の母音の後の「r」は発音しないのが基本ですが、ウェールズ語の影響が強い地域は例外です。また、/t//d/ の破裂音が摩擦音のように発音されるなど、独特の特徴があります。詳しくは、ウェールズ英語の発音をご覧ください。

その他、文法や言い回しなど、スコットランド英語アイルランド英語同様、「ちょっとその文法おかしくない?」といった例や語彙にもウェールズ語の影響がみられます。ただし、ウェールズでは標準英語というものがなく地域によるバラツキがかなりみられるため、上のような singsong accent がすべての地域で起こるわけではありません。イギリスの標準英語に近い地域もあり、国境を隔てて隣接するイングランドのそれぞれの地域の影響を受ける地域もあります。


参考

ここはひとつウェールズ人っぽくしゃべってみたいという方は、下記のサイトをチェックしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=W2PHch4IPPQ