オーストラリア英語の特徴 (1)

       


Last update January 2, 2025

 母音の「エイ」が「アイ」になる?

英語を学習している人なら誰でも知っているのが、オーストラリア英語は「/ei//ai/ のように聞こえる」という特徴ですね。これは、ロンドン東部地域のコックニー英語 (Cockney English) の発音の影響もあると言われています。

そういうことから、入院していた女性が医者から "You can go home today" と言われたのを「もう助かる見込みがないので家に帰ってもよい」 ("You can go home to die") と解釈して悲観したという話がジョークになるわけですが、実際には、/ei//ai/ が同じ発音だというのではなく、私たちの耳に慣れている(アメリカ英語などの)/ei/ の音と比べると、オーストラリア英語の /ei/ を発音するときの舌の位置が上に上がっているため、私たちに耳慣れた /ai/ の音に近くなるというだけの話なのです。

よって、もちろんのことながら、/ai/ の音は(/ei/ と同じではなく)ちゃんと区別されています(1つの音が変化すると、それに押されて別の音も変化するからです)。 ざっくりとどんな音になるのかを表すと下のようになりますが、あくまでも、聞こえ方をカタカナ表記したものなので、詳しくはオーストラリア英語の発音をご覧ください。

標準英語 オーストラリア英語 聞え方
ei æi day → ダイ
say → サイ
here → ヒー
mere → ミー
əu cool → カウル
boot → バウト
au æɔ cow → カオ
now → ナオ
ai ɑe nine → ナエン
height → ハエト
ou əu low → ラウ
row → ラウ

 オーストラリア英語の分類

オーストラリア英語は、Broad AustralianGeneral AustralianEducated (or Cultivated) Australian に分類されます。

この3つの分類のうち、前述のような独特の特徴が表れるのが、Broad AustralianGeneral Australian ですが、イギリスの RP (Received Pronunciation) に近いものが Educated Australian です。教育機関など正式な場面で使われる英語で、祖国を離れて海外で暮らしているオーストラリア人も、こういった標準的な英語を話している場合がほとんどだと思われます。

 カラフルな英語表現

スラングに見られるカラフルな表現や言葉の遊び心もオーストラリア英語ならではの面白さがあります。ここでいう「カラフル」とは、もちろん、表現に色がついているということではなく、豊かで独自性があるといった意味です。

たとえば、韻を踏んで2つの語を組み合わせて1つの語を作る rhyming slang が挙げられます。ここにも、コックニー表現(Cockney rhyming slang)のような特徴が見られます。たとえば、"amber fluid" (琥珀色の液体)と言えばビールのことで、"Captain Cook" というと "Look!"(「見ろ!」)という意味になります。

 省略が好まれる

また、日本でもそうですが、オーストラリア人も省略語が好きです。バーベキューが "barbecue""barbie" (着せ替え人形ではありません)になるなど、以下のような例が挙げられます。

省略形 元の単語 意味
Aussie Australian オーストラリア人、オーストラリアの
arvo afternoon 午後
barbie barbecue バーベキュー
brekkie breakfast 朝食
lippie lipstick 口紅
pressie present プレゼント、贈物
smoko cigarette break タバコ休憩
uni university 大学

その他、名前の最後に接尾辞 "o" をつけてニックネームを作るのもオーストラリア英語に多く見られる特徴です。"John" (ジョン)なら "Johnno" 「ジョノー」、"Jennifer" (ジェニファー)は "Jenno" 「ジェノー」というふうになります。名前だけでなく、Journo 「ジャーナリスト」、Garbo (garbage collector) 「ごみ収集人」など、普通の名詞にもつける例も多くみられます。