ここでの「イギリス英語」とは、 England で話されているイギリスの英語ということで話を進めます。まずは、格調高いイギリス英語と言えばやはり、Received Pronunciation (RP) が挙げられます。
かって RP と言えば「教養」や高いステータスの証でもあり、社会的な成功をめざす人々はこぞって RP の習得をめざしたものです。「鉄の女」 (the Iron Lady) と呼ばれた元首相のマーガレット・サッチャー (Margaret Thatcher) さんも、出身地であるリンカンシャイアー (Lincolnshire) の方言から RP に切り換えた一人であり、サッカー選手のデビッド・ベッカム (David Beckham) さんも、ロンドンの下町言葉である「コックニー(Cockney) 訛り」の強い英語から「posh (上品で洗練された)」英語を話すようになっています。
しかし、その一方で、RP しか認めないという風潮も変わってきており、最近では、きちんと教育も受けて、もともと RP を話す人たちが、逆にコックニー英語に近い話し方をする傾向も出てきました。もはや、RP は古臭いイメージもあるようで、コックニーぽい話し方が「クール、カッコいい、今風」という風潮もあるようです。高級住宅街の店で高級服を身に付けた若い女性たちが、堂々とコックニー英語を話す光景も見られるようで、友達と外出するときはコックニー、家に帰ったら RP、ジーンズでお出かけのときは断然コックニーなのよね!というノリなのか(?)、さすがに英語本場のイングランド、言葉も時と場合に応じて「着替える」感覚なのかもしれません。