悩ましい Oxford comma (1)

       


Last update January 12, 2025

ここでは、Oxford commaserial comma)についてまとめています。Oxford comma とは、「and の前のコンマが必要なとき必要でないとき」でも述べていますが、3つ以上の要素をリストアップしたときに、最後の要素の前の and の前につけるコンマのことです。

 Oxford comma についての各種スタイルガイドの見解

Oxford comma を「使う」か「使わない」かについては、世界の権威ある英文スタイルガイドのなかでも見解が分かれています。それぞれの見解をまとめると次のようになります。

スタイルガイド名 見解
APA style 使う
Associated Press Stylebook 使わない
Canadian Press stylebook 使わない
Chicago Manual of Style 使う
Garner's Modern American Usage 使う
New York Times Style Book 使わない
Oxford Style Manual 使う
Strunk and White's The Elements of Style 使う
U.S. Government Printing Office Style Manual 使う
Oxford Style Manual 以外のほとんどのイギリス系スタイルガイド 使わない

地域性や分野などでは、以下のような傾向が見られるようです。

切り口 使う 使わない
トーン フォーマル インフォーマル
地域性 アメリカ英語 イギリス英語
分野 アカデミック、法律関係 ジャーナリズム

ところで、イギリス英語では Oxford Style Manual 以外は「使わない」とする傾向がありますが、これは、Oxford Spelling が一部のみにしか使われず、大半のイギリスメディアなどでは使われていないという事実と照らし合わせると興味深いものがあります。

ちなみに、Grammarly などの添削プログラムでも、アメリカ英語、イギリス英語のモードを切り替えることで、Oxford comma を入れる入れないのアラートが入るようです。

Associated Press StylebookNew York Times Style Book などのジャーナリズム系ガイドが「使わない」というスタンスを取っているのは、コンマを入れることで紙面スペースが増えるという理由があるようです(かつては印刷のみのメディアだったため)。

また、どちらかのスタンスを取っていても、それによって誤解が生じる可能性のある場合はその限りではない(あるいは、表現法を変える)という対応をしているようです。

日本の企業でも、and の前のコンマだけに限らず、社内の英語の表記・スタイルルールを作成し、それをガイドとして社内で統一しておくのが望ましいと考えます。英文コンテンツを作成する際に、そのときの担当者や諸事情から表記がバラバラだというのは、国際企業としてふさわしいとは言えませんね。