「エスチュアリ(estuary)」とは「河口」の意味で、エスチュアリ英語とは、テムズ川(the River Thames)沿いや河口地域を中心に、イングランドの南東部で話されている英語のことを指します。「t」や「h」の音が落ちる(聞こえない)といった特徴をはじめ、コックニー英語との共通点が非常に多いのが特徴であり、専門家の間でも、どこまでがコックニーでどこからがエスチュアリかという線引きは意見が分かれるようです。
元首相のトニー・ブレア(Tony Blair)さんはときどきコックニー風の英語を話すと言われていましたが、実際にはエスチュアリ英語と呼んだほうがいいかもしれません。また、南東部では、このエスチュアリ英語がいずれは RP にとって代わるのではないかという意見もあるようです。
オックスフォード式スペル (Oxford Spelling)
オックスフォード式スペルとは、オックスフォード辞書 (Oxford English Dictionary; OED) を含むオックスフォード大学出版 (Oxford University Press; OUP) から出版された書物で使われているスペル方式で、その基本となる考え方は「単語の語源に忠実なスペルを使用する」ということです。
イギリス英語を使うヨーロッパの国でも -ise がよく使われていますが、国連機関や ISO (Organization for Standardization)、WTO (the World Trade Organization)、NATO (the North Atlantic Treaty Organization)、科学誌の Nature、ブリタニカ百科事典 (the Encyclopaedia Britannica) やケンブリッジ大学出版 (Cambridge University Press) でもオックスフォード式スペルが用いられています。イギリスの新聞雑誌はおおむね -ise を用いているようです。イギリスのスペルについては、イギリス英語とアメリカ英語のスペルの違いをご覧ください。