ついおろそかになりがちなのが、and の前にコンマが必要か必要でないかといった細かいルールですね。「ま、通じるからいいか」とか「大勢に影響ないし」といった勝手な判断で適当に入れたり入れなかったり… ということもあるかもしれません。しかし、やはりプロのライティングとしては、こういったところがしっかり押さえられているかがポイントになります。
ここでは、and の前にコンマが必要な場合についてまとめてみました。
2つの独立節をつなぐ場合の and の前にはコンマが必要
「独立節(independent clause)」とは、最低1つの主語と動詞を含む節のことで、それだけで文章が完結するものを言います。この場合、and は「等位接続詞(coordinating conjunction)」となり、and の前にはコンマが必要になります。
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The teacher was kind, and the student never missed the chance to ask him questions. (1)
ところが、下の文章では、主語は the student だけなので2番目の文章は「独立節」ではありません。よって、and の前にはコンマはつきません。
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The student was diligent and never missed the chance to ask questions. (2)
では、下の文章のように、the student を代名詞 he に置き換えて「独立節」を2つ作った場合ですね。
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The student was diligent, and he never missed the chance to ask questions. (3)
この場合も、2つの独立節の主語が同じものを指しているかどうかに関わりなく、コンマ+ and で文章をつなぎます。しかしながら、特別な理由がない限り、主語を1つにまとめて、(3) の文章よりも (2) の文章が使われるのが普通です。
例外
しかし、独立節であっても、文章同士が関連しているとか、短い文章である場合、コンマを使うと、ぷっつり切れた印象になりスムーズさがなくなりますので、コンマは省いたほうがいいと言えます。もちろん、あっても間違いではありません。
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Kate was singing and Betty was dancing. (4)
Oxford comma (or serial comma)
Oxford comma あるいは serial comma とは、3つ以上の要素をリストアップするときにコンマを使ってそれぞれの要素を区切りますが、最後の要素を挙げる前に使う and の前に入れるコンマのことを言います。
悩ましいのは、スタイルガイドなどでも意見が分かれていることで、「必要だ」というスタンスを取っているのが Oxford Style Manual(だから Oxford comma と呼ばれるわけですが)や Chicago Manual of Style などで、「不要だ」とするのが Associated Press Stylebookや Canadian Press などです。
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They visited Tokyo, Osaka, and Kyoto. (5)
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They visited Tokyo, Osaka and Kyoto. (6)
結論から言えば、どちらでもいいことになりますが、ポイントは同一文書の中でどちらかに統一することです。ある個所では使っているのに、別の個所では使っていないというのは好ましくないわけです。
また、どちらでもいいとは言え、コンマを使うか使わないかで誤解を生じる場合もあるため注意が必要です。Oxford comma については、「悩ましい Oxford comma」で詳しくまとめています。
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