If vs Wether ―その違いとは? (2)

     


Last update December 17, 2024

IfWhether のニュアンスの違い

前ページで、「~かどうか」というときは If を使わないほうがいいという話をしましたが、その辺のところをもう少し深めてみましょう。たとえば、こういう英文があるとします。

Let me know if he is coming.

この文章の意味はどうなるでしょうか?「~どうか」という意味をあてはめて

①彼が来るかどうか知らせてください

と解釈しても普通は「正解」です。しかし

もし彼が来るなら知らせてください

という解釈もできます。

つまり、「来るのかどうかを知らせて欲しい」=「来る場合でも来ない場合でもその旨を知らせて欲しい」というのに対して、「来るんだったら知らせて欲しい」=「来ないんだったら知らせなくてもいい」という暗黙の部分が大きく違ってきます。したがって、「知らせるか」、「知らせないか」という行動の内容が全く異なってくるわけです。

では、「①彼が来るかどうか知らせてください」の意味で、誤解のない正確な表現にするにはどうすればいいかですね。そうです、if ではなく whether を使って

Let me know whether he is coming.
(①彼が来るかどうか知らせてください)

と表現すると意味が明確になります。ちなみに、whether の後に or not と入れて

Let me know whether or not he is coming.

と入れてもかまいません。

しかし、基本的には、whether が来ると whether or not he is coming と、この下線の部分の意味が暗黙の了解で入ることになるので、whether だけで肯定否定の二者択一の意味になるというわけなのです。選択肢が肯定否定の二者択一ではなく、2つ以上ある場合は、前ページの比較表の最後の例文のように、選択肢を表す単語を or でつなぎます。

さらに、「②もし彼が来るなら知らせてください」の意味で、より正確に表現したいときは

If he is coming, let me know.

If の条件節を切り離して前に持ってくると誤解のない文章になります。

もうひとつ例を挙げてみましょう。操作マニュアルなどで

「機械に点検が必要かどうかマニュアルで確認してください」

といった文章があるとします。それを以下のように、if を使って表現した場合を考えてみましょう。

Refer to the manual if the machine requires inspection.

この文章をじっくり読んでみると、最初の例文と同様に、「機械に点検が必要な場合は、マニュアルを確認してください」と読めなくもありません。「必要かどうか」ではなく「必要な場合は」とも解釈できるわけで、ちょっと意味が違ってきます。

「点検が必要なときにマニュアルを見ればいい」ことになり、逆に解釈すると、「点検は必要ない(と思う)ので確認しなくていい」ということも成り立ちます。通常、機械について言えば、調子が悪くなくても点検するのが常識なので、あえてそういう解釈をする人は少ないと思いますが、複数の意味に解釈できる文章表現は避けなければなりません。

では、if の代わりに whether を使って

Refer to the manual whether the machine requires inspection.

とすれば、「点検が必要であれば」と解釈される可能性はなくなりますね。

しかし、このままでは、文章としては、やや「言葉足らず」の印象が残ります。そこで、to see などのフレーズを追加して

Refer to the manual to see whether the machine requires inspection.

とすれば、プロの文章としても完ぺきになります。

ちなみに、ここで to see を補うのなら、先の if の文章にも to see を入れてやると、誤解がなくなるんじゃないかという考え方もできますね。

Refer to the manual to see if the machine requires inspection.

確かに、これなら、前に to see が来るので、「点検が必要な場合は」という解釈は成り立ちようがありません。 厳密には、if ではなく whether を使うべきなのですが、to see if... であれば誤解がないため、実際の用例として使われているのも事実です。