Informal vs Formal ―その違いとは? (2)

       


Last update December 17, 2024

目的や内容による InformalFormal の使い分け

前ページのクライアントさんの意見はともかく、自分の好みや感覚で「フォーマルがいい」とか、「インフォーマルがいい」というのではなく、それをいかに使い分けるかが大事になってきます。

日本語でもそうですが、家族や友人などの親しい間柄でやりとりするメッセージにフォーマルなスタイルを使ったり、逆に、正式なあらたまった場での発信にインフォーマルな表現を使うということはありません。つまり、それがどんな目的で発信される、どんな内容のものなのかによって、どちらが相応しいかということになるわけです。

「相応しさ」ということは、1)コミュニケーションする相手に応じてスタイルを変える。そして、2)何を書くかという用途に応じてスタイルを変えるということでもあります。

それを表にしてみると以下のようになります。 I  というのが「インフォーマル」で、 F  が「フォーマル」を表しています。

何をする 誰に メディア スタイル
伝える 家族 メール、手紙など  I 
友人 メール、手紙、オンライン通信など  I 
上司・同僚 メール、手紙、レポートなど  F 
特定の既知の対象 メール、手紙、レポート、通達文書など  F 
不特定多数 通達文書など  F 
オンライン通信など  I 
主張・説得する 家族 メール、手紙など  I 
友人 メール、手紙、オンライン通信など  I 
上司・同僚 メール、手紙など  F 
不特定多数 広告、オンライン通信、セールスレターなど  I 
特定の既知の対象 広告、オンライン通信、セールスレターなど  I 
楽しませる 家族 メール、手紙など  I 
友人 メール、手紙、オンライン通信など  I 
不特定多数 オンライン通信など  I 
特定の既知の対象 オンライン通信など  I 


以上、だいたい、こういった一般的な傾向があるということでご理解ください。企業から出す情報で言えば、会社案内や技術マニュアルなどは「通達」の部類に入るため、「フォーマル」になります。ところが、「カタログ」や「広告」になるとちょっと違ってきます。特に、一般消費者を対象にした商品(たとえば電化商品など)では、商品のカタログや広告は、まるで「友人に商品を勧めるような感じ」で、インフォーマルな言い方になるのが普通です。

これについては、私もちょっと恥をかいた経験があります。それは、初めてマニュアルなどのテクニカルライティングにチャレンジしたときのことです。それまではカタログや広告のようなライティングを手掛けていたので、その延長線で、don't などの contraction を使った文章を書いてしまいました。そこで、クライアントさんにご指摘を受けて、「マニュアルでは contraction は使わないのだ」ということを初めて知った次第でした。

では、インターネットの書き込みなどはどうでしょう?日本語では「~です、ます」を使いますが、だからと言って、「拝啓」や「かしこ、草々」といったていねいさはありませんね。たとえ、知らない相手であっても、あまりフォーマルな言い方ではよそよそしいものがあります。

第一、Facebook の書き込みや LINE などで、TVphoto なんかをいちいち televisionphotograph などとスペルアウトしていたら面倒くさくて仕方がありません。SNSなどはもともとインフォーマルな通信手段なので、インフォーマルな表現がフィットしているわけです。どうしても、フォーマルに表現する必要があるのなら、メールなどの通信手段を使うのが妥当でしょう。