なぜ either side が「両側=どちらも」の意味になるのか?
その理由は、ずばり、以前からそういう意味や用法が存在したからです。まあ、当たり前と言えば当たり前なのですが、調べてみると、「どちらか一方」よりも「どちらも」という意味のほうが古かったりします。
これは、古英語から現代英語を含むあらゆる言語の単語を調べることのできる Wiktionary という辞書のキャプチャー(赤線は筆者)ですが、これを見ると、「each of two, both」という意味は9世紀から存在しているとされています。
さらに、次のキャプチャー画像(赤線は筆者)は、英語の語源をまとめた ONLINE ETYMONOLOGY DICTIONARY からの情報ですが、これにも「each of two, both」という古英語の定義が書かれています。そして、現代の「one or the other of two」という意味は13世紀の終わりに登場したとされています。
なおかつ、「either, each, every」を意味するゲルマン語の jeder と同ルーツであるとも書かれていますが、いずれにせよ、each や every は言い換えれば all でもあるため、either が2つの対象のうちのすべて= both の意味になるのは納得できる部分がありますね。
either side と both sides は interchangeable なのか?
では、次に、「両方どちらも」という意味では、either side と both sides は全く同じなのかということですが、結論から言うと、若干ニュアンスが異なります。
ここは、日本語ベースで考えることもできますが、厳密に日本語で表現するならば、either side は「両側」ではなく、「どちらの側も(そうだ)」ということになります。ただ、実際に日本語展開する場合には、簡潔に「両側」と表現したほうが明確なのでそのように表現することが多いわけですが、ニュアンスや視点はちょっと違いますね。
たとえば、次のような場合です。
-
川の両岸に菜の花か咲いている。 (7)
-
川のどちらの岸にも菜の花が咲いている。 (8)
英語の either side と both sides のニュアンスの違いも、まさにこれで
either side:それぞれの側に個々に視点を移し、それぞれ条件に合致していることを表している
both sides:それぞれの側に個々に観るのではなく、2つを1つのセットとしてとらえ、全体的に、条件に合致していることを表現
というわけです。
図示してみると、次のようになるでしょう。
しかしながら、前ページでも述べましたが、英語の用例として使われているからといって、わざわざあいまいな表現をする必要はありません。正式な文書や正確さが要求されるシーンでは、either side の代わりに each side を使うことをお勧めします。
|