アメリカ英語の特徴 (1)

       


Last update December 26, 2024

 古いイギリス英語がそのまま残っている

アメリカ英語の発祥は、ご存知のように、17世紀に始まったイギリスからの移民によってもたらされたイギリス英語です。そのため、本国イギリスではすでに失われいる特徴がそのまま残っている傾向があります。その例をいくつか挙げてみると

 母音の後の「r」を発音するという rhotic (ロウティック)の発音
これは、現代のイギリス英語には見られませんが、当時のイギリス英語では一般的な特徴であり、アイルランドやスコットランドの英語にも引き継がれています。ただし、移民後もイギリスとのつながりが深かった東海岸(ニューイングランド、ニューヨーク、フィラデルフィアなど)では、この特徴は見られません。

 fall などの語彙
「秋」という単語として、イギリスでは autumn を使うのが一般的ですが、アメリカ英語では fall をよく使います。この単語も17世紀の移民と同時にもたらされた語彙で、16世紀のイギリスでは、この季節を形容するのに fall of the year とか fall of the leaf などと表現していたものが省略されて fall となったと言われています。

 ヨーロッパにはない独特の語彙を形成

アメリカ英語では、ヨーロッパとは異なる地形や動植物の名前を表現するために、他の言語からの借用や既存の英単語を割り当てるなどして、独自の語彙を形成していきました。以下、他の言語から借用することでアメリカ英語となった語彙をいくつか挙げておきます。

借用元 語彙例
アメリカ原住民の語彙 opossum 「オポッサム」
raccoon 「アライグマ」
squash 「カボチャ」
moose 「アメリカヘラジカ」
wigwam 「獣皮や木皮などを張った円形の小屋」
moccasin 「モカシン」
オランダ語 cookie 「クッキー」
cruller 「ねじった軽いドーナツ」
stoop 「玄関口の階段」
boss 「ボス、親分」
ドイツ語 hamburger 「ハンバーガー」
scram 「出ていく、逃げる」
wiener 「ウィンナソーセージ」
delicatessen 「デリカテッセン」
フランス語 levee 「堤防、土手」
gopher 「ホリネズミ」
butte 「ビュート(米国西部に見られる丘)」
bayou 「バイユー(米国南部に見られる沼のような入り江)」
coulee 「クーリー(米国西部・カナダなどに見られる流水できた峡谷)」
スペイン語 barbecue 「バーベキュー」
rodeo 「ロデオ」
canyon 「峡谷」
mesa 「メサ(米国南西部に見られる台地)」
arroyo 「アロヨ(米国南西部に見られる乾燥地帯の小川)」

また、イギリスの用法とは異なるものを指すようになった単語の例として、corn が挙げられます。corn はイギリスでは「小麦や穀類一般」を指していましたが、アメリカでは「トウモロコシ」を表すようになり、「小麦を含む穀類」には grain が使われるようになりました。