解明!日本語のオノマトペ (3)

       


Last update December 18, 2024

開口度による印象の違い

固いものをかじるときなどのオノマトペとして「パリパリ」と「ポリポリ」がありますが、ここでは、こういった口の開け方による印象の違いについて考えてみたいと思います。

一般的な日本人の感覚としては、「パリパリ」というと「おせんべい」のような面積の広いものをかじっている感じがあり、「ポリポリ」というと「かりんとう」のような細いものをかじっている印象があります。

ちなみに、音象徴という専門分野では、母音の口の開け方と「大きさ」のイメージの関連性が研究されており、「口の開け方が大きい→大きなものを連想させる」という仮説が証明されている研究結果もあるようです。

この傾向が万国共通かどうかは今後の研究にゆだねるしかありませんが、少なくとも筆者を含む日本人の感覚としては、ほぼ「口の開け方が大きい→大きなもの」というイメージは適用できるのではないかと思います。



口の大きさは、舌の位置が下にくるほど開け方が大きくなり、同様に、奥に行くほど大きくなります。舌を上下あるいは前後に動かすことで、口の大きさ(口の中の空洞)が変化するわけです。

まず、上下の位置でみると、「あ」の母音を発音するときには舌の位置が最も下にあり、「え」や「お」のときは中間にあり、「い」や「う」のときは上の位置にあります。大きさのイメージも、「あ」→「え、お」→「い、う」の順に小さくなっていくわけです。「ぱりぱり」が「ぽりぽり」より大きいのがわかりますね。

次に、前後の位置でみると、「い」のときは舌の位置が前にあり、「う」のときは後ろに来るので、「い」より「う」のほうが大きな印象があります。同様に、「え」より「お」のほうが大きなイメージになるわけですが、その母音の前後にくる音によって口の開け方が異なる場合もあるため、「え」のほうが「お」よりも大きいイメージを感じることもあるかもしれません。あくまでも、一つの目安としてご理解ください。