一般的な傾向と特徴
一言でアメリカと言っても広く、発音も地域によって異なるため、ここでは「標準アメリカ英語」を中心に説明を進めていきます。「標準アメリカ英語」とは、アメリカ南部やイギリス英語の影響が強い北東部(Northeastern:Maine, New Hampshire, Vermont, Massachusetts, Rhode Island, Connecticut, New York, New Jersey, Pennsylvania)以外の地域で話されている、アフリカ系アメリカ英語を含まない英語の発音と定義します。
では、さっそくアメリカ英語の発音についてみてみましょう。
アメリカ英語の母音
アメリカ英語の単母音
アメリカ英語の母音を口の大きさと舌の位置を軸にマッピングすると下図のようになります。
口の大きさと舌の位置
狭母音(せまぼいん) close vowel
半狭母音(はんせまぼいん) close-mid vowel
半広母音(はんひろぼいん) open-mid vowel
広母音(ひろぼいん) open vowel
前舌母音(ぜんぜつぼいん) front vowel
中舌母音(ちゅうぜつぼいん) central vowel
後舌母音(こうぜつぼいん) back vowel
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マップ上の左右方向は、舌の前後の位置を表し、左から右にいくにつれて舌の位置が前→後ろへ移動します。マップの上下は、口の開け方の大小を表し、上から下にいくにつれて、口の開け方が大きくなります。それと同時に、舌の前後の位置も、上→下へと移動します(口を閉じたときは自然に舌が上の位置にあり、大きく開けたときは下の位置に来ます)。
たとえば、母音 /i/ の発音は、口の開け方が狭く舌の位置が前にある状態で出てくる音であり、/ɔ/ は口の開け方はやや大きめ(半広母音)で舌の位置が後ろのほうにある状態で発音される音ということになります。
このマッピングは、どこの国の英語も同じではなく微妙に異なります。それによって、各国の英語の音の違いが出てくるわけです。
アメリカ英語の二重母音
二重母音 |
/eɪ/ |
/aɪ/ |
単語例 |
face |
price |
二重母音 |
/ɔɪ/ |
/oʊ/ |
単語例 |
choice |
goat |
二重母音 |
/aʊ/ |
/ɪɚ/* |
単語例 |
mouth |
near |
二重母音 |
/ɛɚ/* |
/(j)ʊɚ/* |
単語例 |
square |
cure |
* 厳密には二重母音とは言えませんが、他の英語圏との比較のため、ここに表記しています。
以上、アメリカ英語の母音について見てみましたが、少し補足をしておきます。
●「単母音マッピング」の中には、英和辞典でも見慣れない発音記号が含まれていますが、黒い文字でかっこ書きで、通常辞書などで使われている表記を記しています。
●たとえば、/ɝ/ や /ɚ/ は、アメリカ英語特有の「r」の音を伴う音を表します。これら両者の音の違いは、前者が、bird や work などのアクセントのある音を表し、後者は、dinner、water など、アクセントのない「あいまい母音」/ə/ に「r」が伴われた音になります。
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